矯正歯科治療とは、不良な歯並びを審美・咬合(こうごう)の観点から改善をはかる治療のこと指します。
不良な歯並びのことを専門的に「不正咬合」と言い、不正咬合を放っておくと「よく噛めない」「発音がしづらい」「虫歯になりやすい」「歯周病になりやすい」「口臭の原因になる」「顎が痛くなる」など、さまざまな問題が生じる可能性があります。
矯正歯科治療のメリット
矯正歯科治療の目的は、審美性および咬合の改善です。
良好な咬合を維持することで、患者さんのQOL(Quality Of Life)の向上を目指します。
- 歯科疾患の予防
- 顎骨の成長発育障害の予防
- そしゃく機能の改善と維持
- 口唇閉鎖不全の改善
- 発音の改善
- 顎関節と咬合との調和
- 一般歯科治療を行うために必要な「歯の移動」を可能にする
矯正歯科治療をすることにより、性格がポジティブに向かう傾向があると言われています。
なぜなら、矯正歯科治療と聞くと歯並びや咬み合わせの改善、虫歯や歯周病の予防に目を向けがちですが、矯正歯科治療により歯並びが改善され口元の外見が向上されることで笑顔が美しくなるからです。
わたしたちは、健康で美しい外見を求める患者さんの後押しをしています。
矯正歯科治療のリスク
矯正歯科治療を始めてから、継続していくことによってリスクが生じる場合がありますが、これらのリスクが歯の健康に支障をきたさないレベルに留めるような治療を進めていきます。
【リスク1】治療期間の延長
- 成長予測の困難性
顎骨の成長予測は難しく、成長発育の量や方向、時期を常に考慮し治療を行う必要があります。
しかし、予想外の成長発育が起る場合もあります。
その場合、治療期間が長くなることがあります。 - 不適切なメカニクス
歯の移動を行う際、選択される矯正装置の力が適切なものでなければなりません。
歯の移動を計画どおりにコントロールすることができず、結果として治療期間が長くなり、歯に負担をかけてしまうケースがあります。 - 3.患者さんとのコミュニケーション不足
定期的な来院や口腔ケア、矯正装置の使用等において、患者さんの協力が得られない場合は、治療の中断や延長を余議なくされる場合があります。
【リスク2】歯根吸収の発現
歯根吸収とは、元々長かった歯の根が短くなってしまうことを指します。
矯正歯科治療をすることによって、ある程度の歯根吸収は避けられませんが、適正な矯正力による歯根吸収は修復されるため、最小限に留めることができます。
また、歯根吸収を引き起こすような矯正力をかけることはできるだけ避けるようにします。
【リスク3】歯肉退縮
歯肉退縮とは、歯肉が根尖側に退縮し、歯の根が露出するようになった状態のことを指します。
矯正歯科治療に伴い、歯肉の退縮や付着歯肉の喪失を生じることはあります。
このような現象は、歯を支えるための歯槽骨がなく、角化した付着歯肉がほとんどない場合に特に頻繁に認められます。
歯肉退縮が認められる歯については、治療開始前や治療途中、治療終了後に歯肉を増やす処置を考慮しなければなりません。
診査・診断の重要性
矯正歯科治療を行うための臨床検査は以下の5つです。
- 口腔内検査(むし歯、歯周病)
- 顎機能と咬合機能の検査
- 顎のプロポーション検査
- 筋機能の検査
- 顎関節の検査
そして、診断資料の分析は以下の2つです。
- 模型分析(後日写真撮影
- 頭部X線規格写真の分析
これらを実施した上で診断、治療方針・治療計画を決定します。
治療計画については、わかりやすい治療のゴールやそのプロセスを患者さんに示しながら、それぞれの患者さんに適した治療装置とその効果、治療期間、第2期治療の可能性(子どもの場合)、保定、後戻りの可能性、治療のメリット・デメリットおよび抜歯・非抜歯についてご説明させていただきます。
子どもの矯正歯科治療
子どもの歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)への生え変わりは、ある程度時期が決まっています。
親知らず以外の永久歯が全て生えそろうのは中学生くらいです。
早く治療を開始しても、その子どもの永久歯の成長が止まって、咬み合わせが安定していることを確認するまでは、矯正歯科治療や管理を続ける必要があります。
早期に矯正治療を着手しないといけない症例や問題は、そのまま放置しておくと今後起こる成長に悪い影響を与えると判断されるものだけです。
症状や患者さんの骨格パターンによっては、早く治療を開始したほうがいい場合も少なからずあります。
もし、歯並びや咬み合わせが気になったら、早めに受診し、矯正歯科医に治療開始時期を見極めてもらうことをお勧めします。
子どもが矯正歯科治療を始めた場合
- メリット
- ・これから起こる成長を利用しやすい
・虫歯や修復歯や欠損歯が少ないので、矯正歯科治療を行う上での選択肢に幅がある
・歯の移動に伴う歯肉の退縮や骨の減少が起こりにくい - デメリット
- ・保護者の方の意見が優先されがちで、患者さん本人が消極的な場合は、治療の協力(歯みがきも含めて)が得られにくい
・成長に伴う環境の変化、また患者さん自身にも変化が見られるので、治療に対するモチベーションを維持するために、特に注意を払う必要がある
大人の矯正歯科治療
矯正歯科治療は子どもの時にするものだから、大人になったらもうできないと思って諦めている人も、実は意外と多いです。
大人の患者さんには、歯周病のリスクを抱えていたり、子供に比べて歯の動きが遅かったり、歯に詰め物やかぶせ物をしている箇所が多い、骨の成長を期待できない、などの特徴を持っている方がほとんどです。
その一方で、歯の矯正歯科治療中にさまざまな装置を使ったり、丁寧に歯磨きを行ったり、きちんと来院することなどについて、患者さんの協力が得られやすいというメリットもあります。
大人になってから矯正歯科治療始めた場合
- メリット
- ・本人の意志で治療を開始するので、その後の治療において患者さんの協力が得られやすい
・治療に対しての関心や理解力が高い
・すぐに本格的な治療が開始できる - デメリット
- ・虫歯や修復歯、欠損歯が多い
・歯周病に罹患している場合が多く、治療に対して注意が必要
・歯の移動に伴い、歯肉の退縮や骨の減少が起こる可能性がある
矯正歯科治療の方法は、大きく分けると「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」の2つに分けられます。
どちらの治療方法も、歯並びを綺麗にして、噛み合わせを正しい位置に誘導するという点は共通しています。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の最大の違いは、患者さん自身が装置を外せるかどうかという点です。
マウスピース矯正とは、その名の通りマウスピースを使った矯正治療のことです。
1日20時間程度つけていただかなければなりませんが、人と会う時や食事の時は外すことができます。
ただし、ワイヤー矯正と比べると、コントロールが困難になるため、難しい矯正治療などにおいては適応できないこともあります。
ワイヤー矯正とは、歯の表面にブラケットという装置をつけ、そこに通したワイヤーに力をかけて歯を移動させていく方法です。
最近では、装置が透明なものや、歯に近い色のセラミックでできているものが開発されているため、従来のものと比較してすると目立ちにくくなっており、より気軽に行えるものになってきました。
ブラケットを付ける位置は、歯の表と裏にあります。
従来は歯の表側にしか装置をつけられませんでしたが、最近では裏側にブラケットを付けるもの(舌側矯正、裏側矯正と呼ばれる方法)も増えてきました。
裏側に付けることは、装置が表側からは見えないのが最大のメリットですが、動かし方が複雑で調整が困難になります。
矯正治療は審美性を大きく改善することのできる治療ですが、それだけでなく、将来の自分の口腔内の健康を守るために非常に重要な治療です。
現在の歯科医療では、どれだけお金をかけても自身の歯より良いものを作ることはできません。
どれほど見た目が綺麗な被せ物をしても、何十万円とするインプラントを入れても、自身の歯に勝るものはないのです。
歯の見た目だけでなく、自身の口腔内の健康、ひいては全身の健康のために、矯正歯科治療という選択もお勧めさせていただいています。
矯正治療・その他料金
大学病院の矯正歯科の先生が診察します(矯正相談無料です)。
治療の種類 | 詳細 | 料金(税別) |
---|---|---|
矯正検査・診断 | ¥50,000 | |
矯正治療 | ¥500,000 | |
小児矯正検査・診断 | ¥50,000 | |
小児矯正治療 | 成人矯正に移行する際には、差額分の費用になります。 | ¥300,000 |
※一回の治療につき、処置料が別途¥5,000(税別)かかります。
インビザライン
インビザライン・システム治療オプション | |||
---|---|---|---|
エクスプレス パッケージ | ライト パッケージ | コンプリヘンシブ パッケージ | |
料金(税別) | ¥450,000 | ¥550,000 | ¥650,000 |
内容 | ・上・下顎につき7回までマウスピースの作成が可能(初回のマウスピースが届いてから1年の間のみ) ・軽度の場合のみ ・アライナーの初回出荷日より1年間のみ片顎につき7枚まで作成可能 ※治療途中での追加のアライナー1回分の製作費が価格に含まれます。 (2枚目以降は1枚につき20,000円+消費税がかかります) |
・アライナーの初回出荷日より2年間のみ片顎につき14枚までマウスピースの作成が可能 ・軽度の場合のみ ※治療完了日までの間に追加アライナー2回分の作成費が価格に含まれます。 (3枚目以降は1枚につき20,000円+消費税がかかります) |
・アライナーの初回出荷日より5年間無制限でマウスピースの作成が可能 ・中等度から重度の不正咬合 ※治療完了日までの追加アライナーは、回数に制限なく価格に含まれます。 |
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