エビデンス(根拠)に基づいた治療
エビデンスとは、日本語にすると「証拠」「根拠」という意味になります。
医療でこのエビデンスという言葉を用いる場合には、科学的根拠、つまりは実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指しています。
当院では、大きく宣伝されているだけの治療などを選ぶのではなく、むし歯の進行状況により、さまざまなエビデンスに基づいた、治療方法を使い分けています。
保存的治療に尽力しており、歯の切削量を極力少なくできるように、最善の治療を行っております。
また、長期的に持続する補綴設計(詰め物・被せ物)も、一人ひとりの患者様に合わせてご提案いたします。
初期段階う蝕 / 予防の徹底
初期段階のむし歯であれば、治療をせずに済む場合があります。
むし歯のはじまりの段階を「表層下脱灰」といい、歯の表面に穴が空いていない状態にも関わらず、歯の中からむし歯が進行している状態を指します。
見た目での判断は難しいですが、歯の表面が白く濁ったようになり、透明感がない状態になります。
この場合、歯を削らなくても改善できる、もしくは、進行が止まる可能性がありますので、積極的に歯を削るのではなく、慎重に経過を診る必要があります。
改善において大切なことは、ご自身でのホームケアと、定期的なメンテナンスを徹底していただくことです。
ホームケアの方法については、分かりやすくご説明させていただきますので、ご安心ください。
また、定期的なメンテナンスをしていただければ、歯の状態を管理することができますので、むし歯の早期発見ができ、歯を削る量を最小限に留めることができます。
残念ながら、歯に穴が空いてしまっている場合には、治療が必要になります。
中程度のむし歯:MI(最小限の侵襲)に基づいた治療
むし歯の治療が必要な場合、むし歯菌に感染した歯質を取り除かなければなりません。
一度むし歯菌に感染をしてしまうと、歯質は溶けて柔らかくなり、基本的に元に戻ることはありません。
むし歯の治療は、さまざまな方法があります。
当院では、治療の際に、健全な歯質を削ることがないよう「マイクロスコープ」による治療を導入しています。
この治療方法では、マイクロスコープ下において、マイクロエキスカベーターという極小の治療器具を使うことにより、肉眼では比較ができないほどの精密な治療が可能で、より正確に、感染した歯質を取り除くことができます。
なお、治療でとり除いた歯質は元には戻らないため、詰め物や、被せものが必要となってしまいます。
詰め物や被せものにつきましても、一人ひとりの患者様に合わせて、より長く使えるような設計の被せ物を製作いたしますので、ご安心ください。
大きなむし歯:神経をできる限り残す治療
大きな(重度)むし歯の場合、神経を残すことができるかどうか、という点が非常に重要になります。
歯の神経を抜いてしまうと、歯の強度が落ちてしまい、「歯根破折」が起きてしまう可能性が高くなってしまいます。
歯根破折とは、普段問題なく使えていた歯が、ある日突然縦に裂けてしまったり、歯の根が割れたり、ヒビが入ってしまうことをいいます。
歯根破折を起こした歯は、原則的には抜歯しなければなりません。
そのため、神経のある歯とない歯では、今後の歯の寿命に大きな差を生んでしまうのです。
これらの問題をできる限り回避するため、当院では、「生活歯髄療法」をご提案しています。
生活歯髄療法とは、むし歯が神経まで達している場合に、通常であれば、全ての神経を取り除く「抜髄」という方法を用いるのに対し、むし歯菌に感染している神経だけを取り除き、感染していない健康な神経を残す方法のことです。
この生活歯髄療法により、歯の強度をできる限り低下させることなく、非常に保存的な治療を行うことができます。
生活歯髄療法の治療のポイントは、「どこまで感染しているか」を見極めることが大切になります。
現在では、マイクロスコープを用いることにより、神経からの滲出液や出血があるか、色調や可動性はどうかなど、「感染・非感染」を見極めるために必要な所見を、精密に観察することが可能になったため、高い成功率を実現しています。
今までの歯科医療においては、痛みを取ることを最優先していたため、神経を残せたとしても取ってしまう、という治療方法が多かったのが実情でした。
当院では、そういった従来の治療を見直し、より保存的な方法を可能な限り実践することで、皆さんのQOL向上に貢献できるよう勤めてまいります。
大きなむし歯の場合も、まずは診断をするだけでも遅くはありません。
お気軽にご来院・ご相談ください。
神経を取り除かなくてはならない場合には、根管治療の成功率をさらに高めた、精密根管治療をお勧めしております。
治療一例
●生活歯髄療法:¥30,000(税別)
※補綴(詰め物・被せ物)等の費用は別途かかります。
●補綴(インレー・アンレー/クラウン/ラミネートベニア)
補綴というのは、むし歯などが原因で歯の一部が欠損してしまった際に、欠損部を埋めるものです。
その際に用いられる材料にはさまざまな種類があり、それぞれに特性があります。
当院のセラミックは、セラミスト(セラミック修復物の専門家)の鬼塚氏が手がけております。
鬼塚氏は、世界で最も著名な技工士であるWilli Geller氏の下で修行を積んだスペシャリストです。
その卓越した技術で造られた修復物は、生きた歯のような、芸術とも言えるほどの逸品です。


部分的な詰め物です。
素材はセラミック、ゴールド、シルバーがあります。
特にセラミックは審美性にとても優れており、また、プラークやバイオフィルムといった汚れが付着しにくいという特性を持ちます。
・クラウン(被せもの)




・オールセラミック
主に前歯に使用することが多く、審美性にとても優れています。
レイヤリングといって、何十種類もの色を何層にも重ねて、本物に近い色合いを再現していきます。
・ジルコニアセラミック
奥歯に使用します。ひと塊のセラミックブロックを削り出して製作するため、非常に強度が優れています。
・ラミネートベニア
歯の表面に薄く貼り付けることで、審美性(色・形)の改善が可能です。